脱毛症について
以前こちらのHPでAGA(男性型脱毛症)と円形脱毛症についてご紹介させていただきましたが、脱毛症にはその他にも様々な種類や要因があります。今回はそれらについてまとめてご紹介いたします。
脱毛症の種類
男性型脱毛症(AGA)
一般的に遺伝と男性ホルモンの影響から起こり、男性の10人に1人の割合で発症すると言われています。
・壮年性脱毛症
AGAの一種で、ヘアサイクルの成長が短くなり硬毛が軟毛化する脱毛症です。
日本人よりも欧米人に多く、頭頂部より生え際から徐々に後退しはじめるのが特徴です。
男性型脱毛症も壮年性脱毛症も、当院で自費診療による飲み薬での治療をしております。詳しくはこちら→AGAは皮膚科で治療できます
・円形脱毛症
髪が円形や不整形に抜けてしまう症状です。性別、年齢問わず発症する可能性のある疾患で以前はストレスが原因と言われていましたが、最近では「自己免疫機能」との関係が深いという説が有力になっています。詳しくはこちら→円形脱毛症について
・抜毛症
正常な髪の毛を自分で抜いてしまう症状で、癖やストレスが引き金になることが多いと言われています。
・脂漏性脱毛症
皮脂腺から過剰に皮脂が出ることにより、頭皮の毛穴が塞がり炎症をこしたり、毛穴から細菌が侵入して細胞にダメージを与えることで抜け毛を起こす症状です。
これらの脱毛症は遺伝によるもの、ストレス等による自律神経の乱れ、食事、生活習慣の乱れ、等原因は様々です。症状によっては当院にて保険診療が可能ですので、脱毛症でお悩みの方は一人で抱え込まず、一度ご来院ください。
2018年8月27日
AGAは皮膚科で治療できます
「最近抜け毛が気になる」、「うす毛が徐々に進行しているような気がする」といった症状でお悩みの男性の方はもしかしたらAGA(男性型脱毛症)かもしれません。今回はAGAについて詳しい症状と当院で行っている治療方法をご案内いたします。
●主な症状
AGAとは、Androgenetic Alopeciaの略で成人男性によくみられる頭髪が薄くなる状態のことです。遺伝や男性ホルモンの影響により思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が徐々に抜けていきうす毛が目立つようになります。症状は徐々に進行しますが医療機関で適切な治療を受けることで、脱毛部位に太く長い毛の本数が増えるといった効果が期待できます。気になる方は早めに医師にご相談ください。
●内服薬による治療
当院では、自費診療にてAGAの治療を行っております。まずは医師の診察を受けていただき、治療が必要と診断された方にはプロペシア、またはザガーロという治療薬の内服を始めていただきます。どちらもAGAの原因となる男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える薬で、1日1回(食事の影響を受けないので食前、食後、いつでも可能)内服します。個人差はありますが内服開始後約6ヶ月で効き始め、1~3年でうす毛が徐々に減り効果を実感できる場合が多いようです。すぐに効果が出なくても途中で諦めず、内服を続けていくことが大切です。
その他ご不明な点がございましたらお気軽にお問合わせください。
円形脱毛症について
当院では円形脱毛症に対する治療を行っています。
(もしかして円形脱毛症になってしまったかもしれない・・・。)と思っても、焦らず正しい治療をしていくことで症状を軽減し悪化を防ぐことが出来ます。
●円形脱毛症とは
何の兆候もなく、ある日突然コイン状の脱毛斑ができる症状のほとんどが「円形脱毛症」と言われています。一般的には10円玉くらいの脱毛が多いですが、頭全体に広がるものや眉毛や体毛に及ぶものまで症状は様々です。
●円形脱毛症の特徴
円形脱毛症は男女問わず、こども~大人まで誰にでも起こる可能性があり、主な症状としては以下のようなものがあります。
・何の前触れもなく、突然脱毛が始まった
・頭部に地肌の見えるところがある
・脱毛している部分とそうでない部分の境目が、はっきりしている
上記は初期症状としてよく見られる特徴ですが、症状が進行すると、
・起床時、枕等に抜けた毛が数本ついている
・脱毛斑の周りの毛を引っ張ると痛みがほとんどなく簡単に抜ける
・脱毛斑が2か所以上に広がる
等といった症状があらわれます。
●主な原因
よく、ストレス等が原因で円形脱毛症になってしまうという話を耳にすることがある方もいらっしゃると思いますが発症の要因には様々な説があり近年では「自己免疫疾患によるもの」と言われています。自己免疫疾患とは、病気から自分の身体を守る免疫機能に異常が生じ、本来外敵の対象にはならない自分自身を攻撃してしまう疾患です。円形脱毛症は、細菌やウィルス等から身を守る働きをもつTリンパ球が誤って成長期の毛根を攻撃してしまい、その攻撃によって毛根が痛んでしまうために起こるとされています。
また、まれに甲状腺疾患や尋常性白斑等の各種自己免疫疾患と合併する場合もあるとされています。
●当院で行っている治療法
円形脱毛症は、範囲が狭い場合や軽度の場合は本人が気づかない間に治っていることもあります。治療方法には様々なものがありますが、当院では主に抗アレルギー作用や抗炎症作用のある飲み薬、また炎症を抑えるステロイドによる外用薬での治療を行っております。脱毛斑が小さく、まだ進行が浅い場合はこれらに加え十分な睡眠と休息をとり、心身を休ませてあげるだけでも完治の見込みがあります。
早めに治療を開始することが大切なので、少しでも気になる症状が現れた場合は一人で思い悩まず、一度ご来院されることをお勧めいたします。
水いぼについて③
〇治療法〇
当院ではピンセットで摘除しております。チクッとした痛みがあるためご希望に合わせて痛みを和らげる麻酔のテープ(ペンレステープ)をご用意しています。摘除の60分前に貼付することで効果が発揮されます。初診の方は医師の診察後、予約のご案内をさせて頂きます。
〇水いぼの予防法〇
スイミングスクールへ通っていたり幼稚園や保育園などでプールに入るお子さまは肌と肌が触れやすい環境のため入浴やタオルを別にし、直接肌と肌を接触させないように注意しましょう。また、消毒のための塩素は皮膚が乾燥しバリア機能を低下してしまうことがあります。プール後は保湿をしっかりおこないましょう。
水いぼについて②
今回も前回に引き続き水いぼについてご説明します。
〇見た目〇
水っぽい光沢のある、真珠のような白からピンク色の湿疹。直径は2~5mm程度です。
〇感染経路〇
水いぼに触ることで起きる「接触感染」です。水いぼにはたくさんのウイルスが含まれているため、直接触らなくても、タオルや衣服などを介してうつったり、患部を触った手で触れたものを介して周りに広がったりします。スイミングスクールでもらってくることもありますが、プールの水と言うよりはビート板などの皮膚に触る物を介して感染します。
〇プールに入ることの可否〇
プールについては日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会が発表している見解を掲示します。
伝染性軟属腫(みずいぼ)
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会 平成27年5月
学会ではプールに入ることは問題ないとしていますが、お子さまの通っている施設ごとでそれぞれ条件が定まっていると思います。各施設の規則に従って水いぼ治療を進めていくことを推奨します。
次回は水いぼの治療についてご説明します。
水いぼについて①
梅雨が明けたら夏本番!お子さまをもつご家庭ではプール開きなども話題にあがるころだと思います。
保育園や幼稚園によっては水いぼがあるとプールに入れない施設も多いでしょう。
今週は水いぼについてご説明します。
〇水いぼとは〇
正式名称は「伝染性軟属腫」といいます。伝染性軟属腫ウイルスによる小さなイボで、免疫力の弱い幼児~小学校低学年の子どもに多く発症します。
水いぼはどこにでもでき、顔や体、手足まで広がってきます。自然治癒には半年~2年ほどかかる場合もあります。痛み・かゆみといった自覚症状は少ないですが、患部を掻きこわすと手指にウイルスが付着し、その手指が触れたほかの部位へと感染が広がっていきます。
アトピー性皮膚炎・乾燥肌・アレルギー体質のお子さまは、水いぼになりやすい傾向があります。
いったん感染すると湿疹を掻くのと一緒に掻いてしまって、全身に無数に増えて広がりやすくなります。また、ステロイドを塗ると水いぼが増加しますので、アトピー性皮膚炎の治療が適切にできなくなってしまうというデメリットもあります。(日本小児皮膚科学会より抜粋)
次回は感染経路やプールに入ることの可否についてご説明します。
魚の目とイボの違いについて
ある日ふと気付くと足の裏にポツっとしたできものが出現していた経験はありますか?(もしかして魚の目かもしれない…)と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、似たような症状の疣贅(イボ)の可能性もあります。今回は魚の目とイボの違いについてご説明いたします。
・魚の目とは
外部からの慢性的な物理的圧迫によって、足の裏や指の角質が一部分で厚くなり、皮膚内部に向かって根を張るように固い芯を形成(過角化)したものです。足底に生じやすく、靴が足に合わないことで生じる場合が多いと言われています。肥厚した角質の中心が芯のように真皮へ深く侵入している核のため、魚の目のような外観をしていることからそう呼ばれています。
・疣贅(イボ)とは
ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)感染によるもので、ウィルス型別に症状が異なります。外部からの刺激で出来る魚の目とは異なり、削ると出血しやすいため簡単に魚の目との区別ができますが、古い疣贅では角質が厚くなって区別が難しくなります。医師がダーモスコピーという器具で目視をして「点状出血」をしていたら疣贅、していなかったら魚の目です。
●治療の仕方の違い
魚の目→芯を取り除くために、専用の器具で角質を削ります。基本的には1ヵ月の1度の処置になります。
疣贅→液体窒素で患部を瞬間的に凍らせることで、ウィルスに感染している細胞を破壊します。肥厚している場合、液体窒素での治療効果を高めるために患部を専用の器具で削る場合もあります。治療のペースは1週間~2週間に1度の処置になります。
どちらも初め小さな症状でも、放っておくと悪化してしまう可能性があるので早めにご来院ください。
とびひ④
〇プールへの参加〇
日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚科学会が共同で統一見解を出しています。
かきむしったところの滲出液、水疱内容などで次々にうつります。プールの水ではうつりませんが、触れることで症状悪化させたり、ほかの人にうつす恐れがありますので、プールや水泳は治るまで禁止するようにしましょう。
〇予防〇
手洗いをし、爪を短く切り、かきむしって皮膚を傷つけたりしないようにさせることが大切です。皮膚のバリア機能が低下していると、細菌に感染しやすく、とびひにかかりやすい状態にあります。
入浴をし皮膚を清潔に保ち、しっかり保湿し、日ごろからスキンケアを心がけましょう。
小児は鼻の下から発症する膿痂疹が多いです。鼻の中には、とびひの原因となる細菌がたくさんいます。鼻の中をいじった手で体を掻くととびひにかかることがあるので注意しましょう。
とびひ③
〇治療方法〇
ごく軽い場合は抗菌薬の外用で済みますが、必要に応じて内服を併用します。
また炎症を抑える、患部を保護する目的で亜鉛華軟膏が処方されたり、
痒みが強いので、抗ヒスタミン薬の内服をし、かきむしらない様に、病変の広がるのを押さえてあげることもあります。
〇日常生活で気を付けること〇
患部をかいたりいじったりしない
とびひは、患部を触った手を介して症状が体のあちこちに広がることがあります。
患部に触らないように注意し、引っ掻かないよう爪を短めに切るようにしましょう。
清潔を保つ
原因となる細菌を減らすため、入浴して皮膚を清潔に保つことが大切です。
患部はこすらず、石けんをよく泡立て、泡でていねいに洗い、その後はシャワーでよく洗い流しましょう。
発熱などの全身症状がない限り、入浴し、泡だてたせっけんでやさしく丁寧に洗い流します。入浴後は、排液などが周囲に接触しないように、患部に軟膏を塗り、ガーゼなどの保護処置が必要です。
タオルや衣服は共有しない
タオルや衣類を介してとびひがうつることもあります。共用しないようにしましょう。
とびひ②
〇どんな症状?〇
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)
皮膚にできた水ぶくれが、だんだん膿(うみ)をもつようになり、やがて破れると皮膚がめくれてただれてしまいます。かゆみがあり、そこを掻いた手で体の他の部分を触ると、症状が体のあちこちに広がってしまいます。
とびひの多くはこのタイプで、黄色ブドウ球菌が原因です。
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)
皮膚の一部に膿をもった水ぶくれができ、厚いかさぶたになります。炎症が強く、リンパ節がはれたり、発熱やのどの痛みを伴うこともあります。
主に化膿レンサ球菌が原因となりますが、黄色ブドウ球菌も同時に感染していることが多いです。
水疱性膿痂疹 | 痂皮性膿痂疹 | |
原因細菌 | 黄色ブドウ球菌 | 化膿レンサ球菌 |
症状 | 水ぶくれ、かゆみなど | かさぶた、リンパ節の腫れ、発熱、のどの痛みなど |
できやすいところ | 目・鼻・口のまわりから症状が出始めることが多く、やがて体のあちこちに広がる | 全身にできる |
かかりやすい季節 | 夏(暖房の普及で、冬でもみられる) | 季節に関係なし |
かかりやすい年齢 | 7歳未満の乳幼児 | 年齢に関係なし |